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今日の三題話

「草原」「歪曲」「一騎当千」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 誰かの所為ではあったのだけど、誰もそれを責めることは無かった。
 それは、仕方ないなとか仕様がないなといった具合の、ある種の諦めと幾許かの笑みを含めた感情による救いを得て、現在にいたる。誰もが、正解だとは認めないが誰もが、間違っていないと認めるような、そんな隙間にあるようなそんなどっちつかずの浮遊感。然し、それは雲のように漂うでもなく、風船のように揺れるでもなく、ヘリコプタのような力強い浮遊感だ。
 まるで、私はここに居るのだ。と、いう確信にもにた意志が確かにそこにはあった。かといって、はっきりとした立ち位置ではないのだけれど。
 ただ一人の夢が、その他大勢の人生と未来とそして、普遍だったはずの過去すらも揺るがし、吹き飛ばし、引き伸ばし、歪曲し、薄め、刻み、潰し、穿ち、折り、そして破壊した。それは事実として、影響を及ぼしているものの。きっと、遠い遠い御伽噺でしかないのだ。
「納得が行かない事があるとするなら、張本人が既に夢を諦めたことぐらいだ」

 賀古井は、血のついたナイフをだらしなく下げ、静かに外を見ていた。部室棟の廊下から見る四角く切り取られた空は、強烈なコントラストでそれを誇示していた。
 真っ青な空、真っ白な雲。そして、まぶしい太陽。跡は下に緑の草原が似合いそうなほど、ベタベタな青空が顔を出している。
 ヒサキは、嘔吐で体力を消耗した頭で、言われたことを反芻する。意味の解らない事だらけだった、でも理解する必要はけしてない。それだけは解った。そして、
 あの白いのは、人なのだと。
「アレがなにか、科学考証に基づいた説明をしたところで、私や加賀ヒサキが理解できるものではない」
 それは、ただの前置きだったのか。それとも諦めだったのか。
「かといって、物事を順を追い語ったところでただの御伽噺になる」
 賀古井は小さな体に似合わない、深く長いため息をついた。
 足音がヒサキの耳に届いた。気になって視線を送ると、賀古井とじっと壁に佇むステラの間に相羽の姿が見える。
「ひーちゃん、だいじょぶ?」
 湯木と同じく遅れてやってきた相羽は手にコンビニの袋を抱えコチラにやってきた。
「あ、ども……」
 別段気の利いた返答ができるわけでもなく、ヒサキは軽く頭を下げる。そして、大丈夫ですと全く大丈夫じゃない声色で答えた。
「あ、飲物とかいる? 歩ける?」
 言われ、ヒサキは体を意識する。けれどマラソンの後のような倦怠感が、力を入れることを許さなかった。
「んじゃ、ちょっと買ってくるね」
 コンビニのロゴがプリントされた白い袋を手に抱えたまま、相羽は回れ右をし小走りにかけていった。
 そのコンビニの袋の中で、お茶のペットボトルが揺れているのをヒサキは見た。
「続きを話そう」
 話の腰を折られた賀古井が幾分不機嫌そうな顔で言う。相変わらず部長の横で壁に寄りかかっているステラは無表情。目の前には、不機嫌な部長がヒサキを見下ろしている。廊下の奥のほうには、湯木が座っているが携帯を弄っているので、助けにはなってくれないだろう。
「……すみません」
 既に針のむしろなのだ。周りを部員に囲まれているだけでも、ヒサキは少し居心地が悪いというのに、只でさえ怖そうな賀古井に見下ろされているのだ。例え、あんなことの後でなくても精神的に参りそうな構図ではある。
「ところで、加賀ヒサキ。魔法使いの話を知っているか?」
「は? いえ……、漫画やアニメに出てくる魔法使いですか?」
 ヒサキの頭の中では、可愛らしい少女がスティックをもって魔法の言葉を叫んでいるシーンや、少女が魔法で大きな敵と戦っているシーンが映し出される。
「いや、都市伝説にちかいのか。そういう類の話を、君は『この街で』聞いたことがあるか?」
 なぜ、この街を強調するのかがヒサキにはわからないが、あまり人と会話をしないヒサキが、噂話などと言うものに対して詳しいはずも無かった。
「いえ、ありません」
 そいつは、珍しいなと賀古井は呟く。
「まぁ、予想通りでもある。知らないなら、それもいいだろう。別に直接的に関係してくる話でもない」
「はぁ……」
 知っていれば話が早かったというだけのことだよ、と賀古井は自嘲気味に笑う。無駄な確率にかけた自分に笑ったのだろうか。ヒサキには、解らない。
 賀古井は白い人について、話し始めた。
 といっても、賀古井も詳しいことを知っているわけではないそうだ。ヒサキには、自分にはまだ言うべきではないと、そう判断されたのだと思った、
 白い人は、事実人なのだという。世界に刻まれた人なのだと。強烈な熱で一瞬にして灰も残さず焼かれたとき、壁に残る人型の影。まさにそれなのだと。
 実際、熱ではないし焼き付けられたのは壁でも地面でもないのだが。似たようなものだと賀古井は言う。何かがあって、世界に人が焼き付けられたのだと。
 その何かが何か、ヒサキは教えてもらえなかった。
「でも、焼き付けられた影だというのなら、放って置けばいいんじゃ……」
 ヒサキの言に、賀古井は少し顔を崩して笑った。
「残念だが、大本はもっと別の話なのだ。だけど、ただの高校生ができることは、自分の通う高校から、問題を削除するというそれしかできないんだよ」
 そう、つまりただのボランティアや掃除と変わらない。
「大本が解決すれば消えるんですか?」
「楽観的な予想ではあるが、多分そうだろうね」
「じゃぁ、大本を……」
 ヒサキは言いかけて、そして口をつぐんだ。
「それは正義の味方か、雨男にでもまかせようか」
 賀古井は笑う。
「雨男?」
「そう、雨男だ加賀ヒサキ。たった一人の人間が、一部地域の天候を何もせず操ってしまう。そんな影響力がある神の如し人間がいるのなら、解決してくれるだろうな。戦争では一騎当千という言葉に一番近い人間だろう。天候を操れるのだから」
 昔雨乞いができる人間は、神の如しに崇められたのだ。間違いではないだろう。ヒサキはやっと賀古井がギャグを言っているのだという事に思い当たり目を丸くした。しかし、もしかしたらギャグではなくて本心かもしれない。ヒサキには理解できない。
 賀古井が、また話がずれてしまった、といった。
「掃除をする理由は、ゴミが散らかっているというそういうレベルだ。特にヒーローを気取るつもりは無い。ただ、アレを放って置けばいつしか問題になるのも確かなのだ」
「問題?」
「剥き出しの精神が焼きついているのだ。存在その物といっていい。まだアレは目立たないし、普通に出会うことは無い。霊感などと気取っている人間が見る幽霊の大半がアレではあるから、実際全く出会わないということではないのだが。それは例外としておいてくれ」
 一息。一瞬賀古井が言いよどんだのかとヒサキは思った。
「結論から言おう、君のように被害にあう可能性は放って置けばある」
 言われて、あの白いものから感じた。叫びのような記憶が思い出される。
「他人の感情が伝わるというのは実際君が感じたとおりだ。説明はいらないだろう。ああいうことが大量に起こり得る可能性があるというだけだ。実際大規模に顕現した記録は今のところないが。用心に越したことはないだろう?」
 足音が聞こえた。地面を蹴る音に、ヒサキは顔を向ける。てっきり相羽カゴメが帰ってきたのかと思ったがそうではなかった。
「ヒヒヒサヒサキ君、大丈夫? ののののみの飲物買ってきたけどいるかな?」
 志茂居だった。あの時走って去っていった理由がわかったヒサキは、体から力が抜けていくのを感じていた。



 あ、8万HIT。俺おめでとう。皆ありがとう。
 明日まではもたなかったな。
 特に何もありません。特集もないです。
 僕はそういうヤツです。他人の祝い事は好きなくせに。
 きれくれた人へ、感謝の気持ちを伝えるべきだといわれれば言葉もないです。だから、何も言いません。
 だって、言葉がないのだから。ねーよ! ないんだよ! 無いんだよな言ったら無い!
 (ノA`)ありがとう皆様。

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コメント

8万Hitsおめでとう。忙しくて挿絵できない。なんだか良く判らない。

  • myu
  • 2005/03/31 23:23

ありがとう、ってNEOROSIは9万hitいってますがな。おめでとう。
 なんだか判らないけど、多分誤字の所為。
>まぁ、予想通りでもある。知らないなら、自分のもいいだろう。
>まぁ、予想通りでもある。知らないなら、それもいいだろう。
 orz

  • カミナ
  • 2005/04/01 00:09

サイト名が変わってもリンクを変える気はさらさら無いわけだが。4/1なのかもしれないが。NEOROSIは近日中に桁増やすの忘れたら0にもどります。
「君のように被害にあう可能性は放って置けばある」>口語なのでどうでもいいのだけど、意味がつかみにくい。
吐くほどのものなのかの描写が薄い。

  • 2005/04/02 01:42

 >吐くほどのものなのかの描写が薄い。
 あえて書いてないのです、なぜなら僕がそれを描写しきることが不可能だから……。
 orz 逃げですな。
 

  • カミナ
  • 2005/04/02 02:45
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