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今日の三題話

■連載中のlog
「忍耐」「展望台」「芯」
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 自分を見下ろしている自分を、彼は感じている。そいつは、彼のことをまるで感情の無い機会のように見下し、そしてため息をつくのだ。
 自分をバカにしている気分はどうだと、問い掛けたところで答えが返ってくることは無い。相変わらずに、自分は自分をただ無表情に見下ろしている。まるで、足元に転がってるゴミ屑をみているようだと、彼はつぶやいた。
 加賀ヒサキは、家に帰らずに駅前に足を伸ばしていた。といっても、駅前から彼の自宅までの距離は遠いわけでもなく、散歩だといえば警官に連れて行かれることもないだろう。

 自己嫌悪と、後悔が入り混じった目でみる夜空は酷く濁っていて星すら見えなかった。時折横を通り過ぎる車は、どこか曇った音を立てながら彼を置いていく。
 ドップラーなんか忘れたような平坦な音に、まるで世界が平べったい偽者のような感じさえしてしまう。遠くでむやみやたらに光る照明は、自分が偽者だということを必死で隠そうとするようにすら見える。展望台から見下ろしたらさぞかし張りぼてが目立つことだろう。
 自分はバカだという感覚よりも、今まで行ってきた自分の行動に対して情けないやら恥ずかしいやらの後悔が先に来る。真正面から、自分がバカだと思えれば、さぞかし楽になるだろうにと、ヒサキはため息混じりに空を見上げた。
 地上の光を反射した、薄明るい雲がゆっくりと流れていく。と、視界の端で雲が揺らいだ気がした。同時に感じるのは、あの白い人の違和感。においのような、温度のような、湿気のような、そんなあやふやなくせに、心を急き立てる違和感だ。
 ヒサキは、一度鼻を啜ると。その違和感の中心にむかって歩き出す。
 きっと本当は、特別になれた自分に酔っていたのだ。
 それがきっと部活を辞めたくない一番の理由だと、ヒサキは気が付いている。自分の、青臭い感情を認めるのが怖かったのだ。そして、恥ずかしかった。
 結局、認めてしまえば存外簡単なことだというのに。
 違和感に向かう彼の足は、次第に速度を増していく。気が付けば全速力。何を急ぐのか、答えは簡単だった。なにせ、自分は世界を守るヒーローなのだから。
 
 境目の無い世界だった。次第に濃くなる違和感に足を踏み外さないように、しっかりと前を見る。しかし出来るだけ早く。シャーペンの芯を前から入れるような、あのこそばゆい緊張感。成功したら、今日の昼飯は100円アップ。自分にご褒美。逃げ出したくなる緊張と、駆け出したくなる期待を、必死に押さえ込むのは使いわすれた忍耐力。
 一歩、また一歩。まるでステップを踏むようにヒサキは違和感の中心に、白い人の居る場所へと踏み出していった。
 空に星が戻ってくる。変わりに街の光りが小さくなる。理想的な夜。白い人が居なければ、完璧なのにとヒサキは思った。
 アスファルトの感触が次第に頼りないものになった頃、ステラを置いて逃げ出した場所の近くにたどり着いた。無意識に、曲がり角を曲がろうとしたが違和感はそっちではないと告げている。
 足をとめ、振り仰いだ先は暗く、建物すらあやふやだが白い人が見える。
 ステラを置いて逃げたその場所に、白い人が立っていた。
 もし、ステラがあのまま移動していなかったら?
 嫌な予感ではなくて、それは直感。目で見えないが、そこに誰かが居るのは確かだった。ヒサキは、気が付けばそこへ向かって走り出していた。
 そこに誰かがいるのがたしかなら、少なくても走り出すだけの理由はある。
 ヒサキは、賀古井から貰ったカッターをポケットから取り出す。少し重たくて、けれどしっかりと手に吸い付くような感覚に、一度力をこめて握った。体が高揚してく感覚に、自然と頬に笑みが張り付く。自分はヒーローだ……。

 だからいつもより、気分の悪くなるような嫌悪感が襲ってこなかったことに、ヒサキは気がつけなかった。
 
 誰かが誰かを抱えて蹲っている。というよりは、地面に倒れた誰かを抱え上げているシルエット。そして、そことヒサキを挟むように白い人が一つ。ゆらりと進路をふさぐ形であらわれた白い人にヒサキはカッターを固定。突き出した手にカッターがにぎられている。踏み出す足に力をこめて、ヒサキはそのまま突進した。
 目をつぶり、突撃したヒサキには見えなかった。白い人がヒサキの突進を見て逃げ出そうとしたのを。少なからず、白い人がコチラを認識、もしくは意識をもち始めていることにヒサキも、そして今彼の進行先で倒れているステラもわからなかった。
「あああぁぁぁぁああぁっぁつ」
 金属のような、金切り声のような、つんざく叫び。同時に、白い人は薄れそして崩れ落ちていく。耳をふさぎ、ヒサキは必死でそれに耐える。空気を震わせない叫びが、耳をふさいだところで防げるはずも無いのに。それでも、心の準備が出来るだけでも少しはましかもしれない。
 叫び声のに周りが元に戻っていく。乾いた土が崩れるような、そんな感覚のなか、ヒサキは足を緩めない。
「あんた!」
 ナイフを構えながら、ステラを抱える男に向かってヒサキは走る。
「おおぉ!? いや、違う多分それは誤解だ!」
 膝にステラを乗せて、起用に男は両手を上げた。
「だれだ? 沢村さんになにしてる」
 ヒサキは同見ても怪しい男に向かってカッターを向ける。だが、人間相手にカッターが役に立つとは思えない。抵抗されればすぐに折れる刃に、脅し以外の意味は無かった。
「なんか、白いのに当たったら倒れちゃって。おかしいなぁ、昔からあんなんだったっけ……」
「昔?」
「あ、いや。なんでもない。気にしないでくれ。君、この子の知り合い?」
 質問にとりあえず頷くが、暗くて見えているかどうか不安になって「ああ」と呟く。
「そうか、そいつは良かった。この子さ、ぼーっと突っ立ったまんまで、迷子かなって声かけてたところだったんだよ。それで、あれだからさ。ま、とりあえず知り合いが見つかってよかった。うん」
 そういって、男はステラを抱きかかえるとヒサキに押し付ける。成り行きのまま、伸ばした手にステラが置かれる。手のひらで器用にカッターの刃をしまいながら、ヒサキはステラを抱きかかえるために腰を落とした。
「とと」
「んじゃ、俺はいくわ。自分の女は自分でしっかりみないとだめだぜ?」
 語尾は、既に足音で消えかけていた。顔を上げると、男は既に曲がり角の辺りで手を振っている。
「ちょっ……」
 自分の女って、という疑問は結局ヒサキの口から出ることは無かった。




 設置した後解析みにいったら、一杯拍手があって漏らした。
 よくかんがえたら、テストで自分でリロードしていたのを思い出した。
 ちょっと泣いた。

 感想ありがとうございます。
 がんばっていこうとおもいます、でもラノベスレ間に合いそうに無いのは秘密です。眠いです、はらへりました。ああ、上司の口が臭い。

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