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今日の三題話

■連載中のlog
「新人」「得点」「編集」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 拙い光に照らし出された部屋は、余りにも大きくその部屋の大きさを確実に測り知ることがでいない。天井も、壁もともされた拙い光が届くことはなかった。
 規則的に床から伸びる木の柱に、申し訳程度についている蝋燭だけが唯一の光源だった。柱はどこまでも続いているようにみえ、柱ごとに弱い光を発している炎も、遠くまで見えているがどこが端なのかを知ることができないでいる。
 まるで無限に続く回廊。いや、前にも後ろにも右にも左にも、そして上にもどこにも区切りはない。無限に続く世界だった。そして、あるのは規則的に続く柱。気を抜けば目眩すら起こしそうなほど、規則的でそして永遠に続いている。
「お手数かけます」

 呟いた言葉はどこにも反射しないで、薄れて消える。まるでソレは波紋のような、頼りなさだった。
 言葉の主は長身痩躯。暗い中で顔はようとして知れない。あるのは、声と輪郭だけだ。どこからか入ってきた風にゆれた蝋燭の炎が一瞬、影を揺らした。けれど、ソレは輪郭を浮き彫りにする程度で、やはり声の主の姿がわかるようなことはなかった。声が男だ、それしかわからない。反響せず、呟きにもにた声は例え知人であっても特定できないほどはかなく、闇に溶けてゆく。
「かまいません。私も貴方のやり方に賛成しています。アレ等は好きに使ってくれてかまいませんが、約束だけは守ってください」
 もう一つの声が生まれた。丁度向き合うような場所から響く声は女。やはり、声だけで判別がつかないほどの弱い声だった。男の声同様、どこにも返らず所在無く薄れていく。
「極力穏便に、ですね?」
「そうです、彼等も、アレ等も、そして向こう側も、すべてにおいて穏便に」
「……、ソレが叶わない場合は」
 一拍置いて、男の声。感情は聞き取れずただぼそぼそと届く声では、彼が何を考えているかはわからない。
「例え、この地を赤く染め上げ、海も空も血に染めても阻止しなさい」
「力を借りてる身、意見は言いますまい」
 そして、まるで編集されたテープのようにブツリとノイズを立てて声は途切れる。
 もう、この果て無き空間には音は無くなった。風無く揺れず、蝋燭だけが小さな気流を作りつづけ、次第に蝋がつきていく。
 一個、また一個と炎が消え始めると、まるで連鎖反応のように暗闇が広がる。全て同時間、完璧なまでに統制の取れた波紋の闇に空間は、無音を伴い消えていく。
 残ったのは、完全な闇。

「先輩、いいんですか?」
「後輩よ、お前は興味が無いのか」
「い、いや、その」
「男はな、エロスを求めて止まない求道者なのだ。例え女を抱き飽きても、エロスはそれだけにあらず。直接に飽きれば、間接を求めればいいのだ」
「ふかいっす、先輩」
 湯木と、ヒサキは休日の昼の日中、駅前にいた。バスロータリーを正面に、放射状に伸びる商店街を背に、二人はサングラスをかけ、並んで立っている。
 そして、二人の視線の先には、相羽カゴメが座っていた。ロータリーを取り囲むように、遊歩道が広がり、植え込みがそこに並ぶように存在している。
 植え込みにはベンチが設置されており、バスを待つ人や、休憩している人、家が諸事情で無い人や、恋人を待つ人。そして、
「女二人組みデート! エロス!」
「え、ろいっすか? つーか、この格好って目立つような気がするんですけど」
 黒ずくめにしてこいといわれ、ヒサキは家の中を引っ掻き回して黒いTシャツを発見、何とかあわせてこれた。はずだった。
 横を見ると、そこにはなんだか黒というか、肌色の湯木。
 後少し引っ張ったら脱げそうなズボンに、やけに肩口の開いたシャツ。サングラスも、なんだか黒よりも装飾の方が目立っている。首にかかったアクセサリは、ヒサキはなんと言うものか知らないが、とりあえずジャラジャラして光を反射させていた。なんだか、横に並ぶのだけでも精神を病みそうな気分になる。
 そんな先輩に慣れた自分に、拍手送る。そんな、スタンディングオベーション中のヒサキの肩が揺すられた。
「行くぞ後輩、ステラちゃんが来た」
 声に顔を上げると、私服のステラが相羽を見つけ駆け寄っているところだった。一瞬私服でわからなかったが、すぐにあの金髪で気がつく。
「……」
「くくく、若い。若いぞ後輩! むしろお前が面白いさすが新人、50点あげよう」
 そういって、背中を力いっぱい叩く湯木。いきなりのことに咳き込み、ヒサキは涙目になる。
「ごほっ、なんですかその50点って」
「得点だよ、100点たまるとランクが1上がる。師範代にまで上がれば、昇給制度により、宝くじ一年分が贈呈だ。気分的に」
「は、はぁ」
 こんなキャラだっただろうか、とヒサキは首を傾げる。たしかに学校でしか有っていなかったので、むしろ外ではこうなのかも知れないと思い込もうとヒサキは苦心する。
 と、そんなことをしている間にも、二人は駅の方へと歩き出していた。
「行くぞ、後輩」
「犯罪じゃないのかなぁ……」
 いぶかしむヒサキをよそに湯木は走り出す。
「今日はハットトリックだ!」
 出来れば、近付きたくないと切に思うヒサキであった。

 駅の裏、駅ビルとくっついて存在する町唯一の巨大ビル。巨大ビルといっても、実は四階ぐらいまでしかない。屋上まで登っても、町の中央にある病院と並ぶかちょっと負けてる感じがする。
 外観保護とかなんとか、そんな話をヒサキは聞いたことがある。
 それゆえ、高い建物は無いらしい。海と山に囲まれた辺鄙な町は、観光客もこないくせに見た目にこだわって寂れていくのだろう。
 休日の駅ともなると、町では唯一の娯楽施設とすらいえるビルと繋がってることもあり、流石に人が多い。サングラス越しに見る、人の波は吐き気を催すほどだったが、前を走る湯木を見ていると、そこまで気になるものでもなかった。
 サングラスなしで、湯木も居なければすぐさまにでも立ち去っていただろうか、ヒサキはそんなことを考えながら、小走りに湯木の跡を追いかけていた。
「後輩、あいつ等どこいくかしってるか?」
「え? あー、えーっと。たしか、二階の雑貨屋が潰れて、そこに新しくはいった店にいくとかなんとか」
 ヒサキもちゃんと聞いていたわけではないので覚えていない。搾り出した記憶は相羽の嬉しそうな声だけだった。
「雑貨屋? そんなんあったっけ?」
「さ、さぁ」
 考えてるうちに、相羽とステラの姿を見失ってることに、二人は気がついていなかった。




 実はラストしか考えてない週刊連載漫画形式。

 今週金曜は、お休みです。万博行ってきます。
 名古屋の名物はやっぱりエビフライなのか……海老なのか……
 あんな、虫っぽいのくえねぇよ……ウウッ

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