スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

今日の「三題」話

■連載中のlog
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 光る小さなものが、くるくると志茂居の上をまわっていた。はじめ、志茂居の幽霊かとヒサキは驚いたが、よくよく考えれば自分がみえるわけがないと、カブリを振る。ステラの話をきいていたから、すぐに思いついただけだ、それに幽霊というほど嫌な感じはしない。
 だが、それは魂のようになんだか神々しく見えたのは確かだった。
「そうか、早かった分移ったのか」
 賀古井は、ヒサキの言葉を聞いてからずっといままでぶつぶつと何かを呟いている。

 ユキに光るのが見えるかと聞いたが、ユキは何も観測できないと一言答えただけだった。自分にだけ見えるというのは、気味が悪い始めはそうおもっていた。ステラの話をきいて感じたのは、そんな気味の悪い物をずっと見つづけてかわいそうだな、と思った。しかし、ヒサキは実際自分がなってみて全く違う感覚を得ていた。
 ほんの少しの優越感と、ほんの少しの疎外感。そして、見えてる事に関してなぜか責任を覚えてしまう。これはなんなのか、自分にしか調べることが出来ないのだ、と。
「加賀ヒサキ、むやみに手をのばすな。ソレが、志茂居に憑いていた物なのかどうか、確証すらないのだ。なにせ加賀ヒサキにしか見えていないのだか」
手を伸ばそうとすると、賀古井の叱責がとんできた。驚いて引っ込めた手は所在なさ下に空を掴む。ぱちりと、電灯にあたった虫が弾けて落ちた。
「質量を確認しました。が、物質に干渉することは無いみたいです」
 ユキが不意に口を開いた。質量? 質問すると、重さはあるがどんな物も干渉を受けていない、あるのは重力のみであるとの答えが返ってきた。
 よくはわからない。ただ、重さがあるなら触れる気がした。再びヒサキは手を伸ばす。

「けいたさん、けいたさん」
 どれだけ泣いても何も変わらなかった。ただ、さっきとは違う少し大きい人間が二人やってきた。ソレは一瞬だけその人間二人に意識を向けたが、すぐに志茂居の周りをまわることを再開する。いつか、追いつけるかもしれないと、それ以外にすることがないといわんばかりに。
 一人の人間が、視線をよこしてきたことに、ソレは驚いた。
 目が合ったのだ。まるで自分が見えているような、そんなかんじだった。志茂居意外に自分が見える人がいるわけがない。ソレは「向こう側」に近い存在であるから「向こう側」へ行けば、見える人は居るだろう。そのことは、ソレも理解している。
 けれど、ソレはこの場所に居たかった。そして、ソレは居る理由が欲しかった。だから、ソレはその場を回りつづけた。伸ばされたのは手。志茂居の手なんかより、細くてたよりない手は、ソレをしっかりと捕らえるために向かってきていた。完全に、見えているそんな動きだった。

 手を伸ばすと、光の動きは止まった。ヒサキは、その光がもしかしたら志茂居の魂かもしれない。もしかしたら、生き返る可能性があるかもしれない、漠然とそんなことを考えながら、ゆっくりとそして丁寧にてをのばしていく。
 丁度、目の高さのあたり、光はまるでヒサキの手がみえるかのように動きを止め、そして近付いてくるのを静かにまっているようだった。
 
 もしかしたら。ソレは淡い期待を抱くも、やはりそんなことはない。そうソレは何度も言い聞かせるようにしていた。
 あやふやな期待はしてはいけない。あるのは結果とそれを並べ立てる情報のみだ。確率なんていうものは信じない。そんな宗教は糞喰らえであり願い下げだった。
 でも、その手はどんどんとちかづいてきている。
 
 光はじっとしている。ヒサキは、何故動かなくなったのかソレがきになっていた。もしかしたら、ほんとうに魂なのかもしれない。そうじゃなくても、害があるとはおもえない。
 ほんの少しの恐怖は、後ろにいるユキが支えてくれている気がした。
 一歩、触れる――

 どれだけ考えても、答えはわからなかった。次第に強くなるのは焦りのような感覚でしかなくて、期待ではなかった。ソレは、だからこそ動かなかったのかもしれない。
 きっと、期待していたら飛び込んでいた。それは志茂居の手を離れるということ。だから、ソレは動かなかった。視界が目の前一杯にひろがった。
 触れる――
 
 まるで、「向こう側」に入る瞬間のようなあの感覚。抵抗の無いお湯に手をつけるような感覚。
 ヒサキは、一瞬手をひきそうになって踏みとどまる。驚きは彼の体を強ばらせたがそれでも手を引っ込ませたいとは思わなかった。
 手のひらにのせるようにすると、重さが手にくる。確かに、そこになにかがあるそんな感触だった。
 そして、ゆっくりと光が収まっていく感触。目の前でソレは確実に形になり始めた。
「ヒサキ様?」
 ユキの心配そうな声に答えないまま、ヒサキは手を差し出したまま動かない。
「君は?」
 それは、少なくても志茂居ではなかった。もっとよわよわしく、そして泣いている気がした。志茂居ではない、直感で感じたヒサキは問い掛ける。
 だが、答えがかえってくるわけもない。
 光は確かによわくなっている。だけど、まるで自分の形がわからないかのようにゆらゆらと揺れつづけたまま形がさだまっていなかった。ひかってゆらゆらと飛ぶもの。幽霊じゃない。
 ヒサキは、子供の頃よんだピーターパンという絵本にでてくる妖精を思い出す。
「妖精?」
 呟いた言葉に、光が震えた。まるで形を与えられたように、まるで意味を与えられたように。
 そして、光が収まったときそこにはなんだか良くわからないものが残った。
 ヒサキの手のひらにのっている、そのなんだか良くわからないものはじっとヒサキを見上げている。
「あの、私がみえるんですか?」
 ソレは言う。手のひらサイズの人間。トンボのような四枚の透明は羽。服はなんだか良くわからない。看護士の制服にもにているが、少し違うきもする、それにワンピースのように着ているので多分違うだろう。
 それよりもなによりも、耳が長かった。そういや、ピーターパンにでてきたティンカーベルも耳が長かったなとヒサキは思う。でもあれは、上に長かったような……
「見えるけど」
 良くわからないが、とりあえず返事を返す。すると、手のひらからソレは飛び上がった。嬉しそうにヒサキの周りを飛び回る。四枚の羽はどうみても、その体を支えられるほど大きくないというのに、なぜか音も風も立てずに飛び回っている。
 そして、飛び回ることに満足したのかヒサキの肩に下りた。コツリと、たしかに感触がある。
「あの、けいたさん。けいたさんが」
 そして思い出す、志茂居の肩になにか光っている物をみたことがある。そう、きっといま自分が見えている物がそうなのだろう。
 ひとり、結論付けたヒサキは地面に寝かされている志茂居の姿をみた。
 綺麗な寝顔だ。
「けいたさんが、殺された――」
「加賀ヒサキ、そこに居るのだな?」 
 妖精の声を遮るように、聞こえていないはずの声を遮るように、賀古井が言う。
 一瞬で腰が抜けるほどの、心臓をわしづかみにされるような。余りにも、あまりな敵意。
「それは、まやかしだ。耳を貸すな。志茂居はそいつに――」
「けいたさんが――」
 そして、妖精と賀古井の声がダブってヒサキの耳に届く。
「「殺された」」 




 やっと話が進み始めました。ジョギングなんだかわかんないけど、絵文字とか入れられる  らしいです。どうでもいいですね。

スポンサーサイト

コメント
トラックバック
この記事のトラックバックURL